Code orangeの洗礼

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オランダでは巨大ハリケーンCiaraのためにCode oranje(上から2番目の危険度)の警報が出て、昨日からあちこちで強風による被害が出ています。今朝は風は強いものの雨は止み、青空もちらほら覗いていたので、予定通りアムステルフェーンでやっているレッスンへ出かけて行ったのですが、、、。

とんでもない洗礼を受けてしましました。

まあまず、駅に行くまでにかなりの体力を消耗し何度も自転車ごと横だおしになりそうなところを必死に耐え、息も絶え絶え駅に到着。

万一に備えて1本早い電車に乗ったのが運の尽き、降りる予定の駅寸前でテロを彷彿させるような爆音と大揺れのあと、電車が線路の真ん中で突如停止してしまったのです。

何が起こったの?

これ、銃の音?

何、外から撃たれてる?

とにかく身を伏せる乗客、逃げようと出口に向かう乗客、一瞬車内は騒然としました。

しばらくして車内放送が入り、電車を走らせる上部電線(電気系統システム)が強風のため壊れてしまったのでこれ以上先には行けない、というのです。

あ〜あ、やっぱり。

とりあえずテロではないことがわかりホッとしたものの、これから先どうなるのかは依然とわからず、とりあえずは次の指示を待つしかない状態。

10分、20分、30分とたっても何も変化なし。

そのうち、「すぐには直せない状況なので何かしらの方法でこの電車から脱出してもらうことになると思います」とのアナウンスが。

最初は1時間もすれば解決してレッスンにも間に合うと思っていたのですが、そんな淡い希望も打ち消されてしまったので、気持ちを切り替えて今日のレッスンはすぐにキャンセルし、持ってきていた本を読みながら進捗を待つことに。

そのうち1時間たっても何も変化がなく、私もいささか不安に。

周りは、というと、仕事先に連絡したり、パソコンを開いて今できる仕事を始めたり、文句を言い出す人、イライラする人、パニックになる人は誰一人いませんでした。この電車はスキポール空港行きだったので、スーツケースを持って乗り込んでいた乗客もたくさんいましたが、そういう人たちで慌てたりしている人も見受けられませんでした。

NSやProrail(鉄道会社)の人たちも、けが人はいない?と心配して見回りに来てくれたり、換気のために窓を開けには来てくれたけど、「申し訳ない」「ご迷惑かけてすみません」という気持ちは微塵も見られず(笑)「自然災害だから仕方ないわよね」くらいの勢いでただ淡々とやるべき仕事をしている感じでした。

これ、日本だったら、「ご迷惑おかけしております」という言葉からアナウンスが入り、車内でも理不尽に起こったり文句を言い出す人がいそうな気もするんですが、、、。

そうこうするうちに車内に閉じ込められて2時間が経ち、周りも少しガヤガヤしてきた頃、やっと隣の線路に救出のための電車が止まってくれました。と言っても、通常運行している電車を停めて乗客を移すのですからすでに乗っている乗客もいて1台では全乗客が移動できるわけもなく、私は2台目を待つことになりました。

それから程なくして2台目のevacuation train(車掌さんがそう呼んでいました)が到着し、私もやっと外に出ることができました。車内を歩いて出口へ向かう途中、粉々になったガラスの破片と割れた窓ガラスを見てびっくり。強風で何かが飛んできて窓ガラスに激突したのでしょう。あの爆音はこれだったのか!とその時納得したのでした。

そして、2時間ぶりに外の空気を吸い、線路の上をスタンドバイミーさながらに歩きつたってevacuation trainに乗り込みました。その時に見た、あの爽快で解放的な景色をわたしはきっと忘れないと思います。

ほとんどの人が私と同じことを考えたのか、携帯を手に、人生でそうないであろうこの経験をビデオに撮ったり写真に収めたりしていたのが印象的でした。

evacuationなんて、現役CA時代に訓練でやった以外、幸いにも乗務では経験しませんでしたが、まさかここオランダで経験するとは。そのevacuationという単語に体が異常に反応してしまい無駄に緊張してしまいました。

evacuation trainにのって、降りる予定だった駅に降り立ったまでは良かったのですが、そこからユトレヒトの帰るのがまた一苦労で。

通ってきた線路はすべて通行止め、軒並みユトレヒトへ戻る電車がキャンセルとなっていました。仕方なくインフォメーションで可能なルートを聞き、2駅先まで移動して、そこから各駅停車に乗り換え。かなり遠回りをし、やっとの思いでユトレヒト駅に到着したのです。

今朝、電車に乗ってから約5時間、レッスンはキャンセルしてしまったものの、車内で本を一冊読み、国民性の違いをまざまざと見せつけられ、また、オランダ人の優しさにも触れ(オランダ語だけの車内放送を英訳してくれました)、線路の上を歩きながら青空を見上げたりと、この5時間はけっして無駄ではなかった、、、と思いたい(笑)

だって、ほら、ブログネタが1つできたし(笑)

少なくとも、また1つ経験値が増え、無駄に不安になったり慌てずに平静を保てた自分を褒めよう、と無理やり前向きに今朝の出来事を振り返えったのでした。

そしてオランダ語、少しでも聞けて読めて話せて良かった。それだけで平静って保てるものだなって思いました。

実は、今日は熱を出して学校を休んでいる長男を夫に預けてレッスンへ出ていたので彼の様子が心配だったのです。もし事態が長引いて家になかなか帰れなかった場合、不安症の彼がどんな反応をするのか。(実際、ママの緊急事態を夫から聞いた息子は、心配と高熱で今にも泣きそうだったそうですから)

帰宅して真っ先に息子の部屋へ行ったのですが、帰ってきたことがわかった安堵感からか、それともパラセタモールが効いてたのか、比較的落ち着いていて冗談の1つも言える様子で安心ました。

そのやりとりで私もやっと笑うことができ、この一連の出来事を笑って済ませることができたような気がします。

「先生のレッスン楽しみにしてたので残念ですが、次回まで待ってます!」と言ってくれた生徒さん、すみませんでした。そしてありがとうございました。

いい教訓になりました。Code Orangeを甘く見てはダメですね(笑)

結果的に大事に至らず、落ち着いた乗員乗客の行動で無事に帰路につくことができましたが、あの缶詰状態、軟禁状態はやはりもう嫌ですね。

今日、私と同じ経験をした他の乗客のみんなが、後半の今日という日を楽しく平和に前向きに過ごせていたらいいなと願うばかりです。

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